金曜の夜
三連休の始まる前で
街はどこか浮かれてる
ビルの裏手の非常口とか
路地に入った影だとか
500mlの缶を手にして
積もる話を語り合ってる
夜が更けるのを惜しむように
走り続ける労働者たちの
束の間の給水地点がそこにある
私がもう少し
私がもう少し鈍感だったなら
人生の様々の違和感を見過ごして
気楽な暮らしを出来ただろうと思うと
口惜しい
私がもう少し非情だったなら
目の前の犠牲者と加害者から目を背け
自己中心的な生き方が出来ただろうと思うと
歯がゆい
私がもう少し傲慢だったなら
才能のかたまり達と自分との遠さをはっきりと自覚することなく
気後れせずに振る舞えただろうと思うと
羨ましい
私がもう少し感受性に乏しかったなら
飛び抜けた創作物から受ける 震えるほどの感動が
今より小さかったと考えると
それが何より恐ろしい